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平成23年相続税改正案で基礎控除額が6割に縮小される予定(延期)。相続税払う家庭が増える。(改正のポイント) [老後起きるさまざまな問題の解決]

平成23年相続税改正案で基礎控除額が6割に縮小される。相続税払う家庭が増える。(改正のポイント)

平成23年度の大きな改正として、相続税の基礎控除額が現行の6割相当に縮小される予定。改正案では、基礎控除の額は次の算式で求めた額になります。(11月現在見送りとなったが、油断はできないので、概要は知っておく必要がある)
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば被相続人Aさんの相続人が配偶者と子ども2人の計3人だとすると、現行制度での基礎控除額は8,000万円。Aさんの相続財産の「課税価格の合計額」(※)が、8,000万円以下であれば、相続税はかかりません。
ところが、改正後の基礎控除額は4,800万円。相続財産の「課税価格の合計額」が、4,800万円をこえると、相続税がかかるようになってしまうというわけです。
相続税の対象となる相続財産には不動産、現金、預金、株式といった財産以外に、生命保険金も含まれてきます。我が家にはそんなに財産はないと思っていても、自宅の土地・建物と生命保険金で、基礎控除額を上回ってしまう方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。

(※)課税価格の合計額は、被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額および相続時精算課税適用財産価額を加えたもの。

契約者(=保険料負担者)、被保険者が夫で、夫が死亡して妻が生命保険金を受け取った場合、この生命保険金は、本来夫が持っていた財産ではありませんが、相続財産とみなして相続税の課税対象となります。
しかし、生命保険は家族の生活保障のためのものであり、すべてが課税対象にならないよう、一定金額までは非課税にする措置が取られています。それが生命保険金の非課税限度額で、次の算式で求めた金額となります。
生命保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
現行制度では、法定相続人であれば人数に含めますが(注:相続放棄している者は含め、養子には人数制限あり)、
改正案では、次のいずれかに該当する法定相続人のみしか算定の対象にできなくなります。
(1)未成年者
(2)障害者
(3)相続開始(死亡時)直前に被相続人と生計を一にしていた者

例えば、被相続人Aさんの相続人が配偶者と子ども2人の計3人で、相続開始直前に同居していたのは配偶者のみ、子ども2人は未成年者でも障害者でもなく、Aさんとは別居で生計を一にしていない場合。
現行制度では、非課税限度額は1,500万円。Aさんの配偶者や子どもたちが死亡保険金を3,000万円受け取ったとすると、非課税限度額をこえる1,500万円だけが相続税の課税対象です。
ところが、改正後は、非課税限度額は500万円×1人=500万円だけとなり、非課税限度額をこえる2,500万円が相続税の課税対象になってしまうのです。

小規模宅地等の評価減特例は、すでに平成22年度の税制改正で適用対象となる要件が厳しくなっていて、被相続人の自宅の敷地の場合「特定居住用宅地等」に該当しなければ適用できません。
<特定居住用宅地等に該当する場合>
(1)配偶者が取得
(2)配偶者以外の同居親族が取得し、相続税の申告期限まで所有・居住している
(3)配偶者・同居親族がいない場合に、別居の親族が取得し、申告期限まで所有している
(ただし、取得者は過去3年間、自己または配偶者の持ち家がない者に限る)
「特定居住用宅地等」に該当すれば、240平方メートルまでの部分の評価額が80%減額でき、敷地面積240平方メートルで1億円の評価額であれば、8割減をした2,000万円の評価額になります。
しかし、被相続人が配偶者も同居親族もなく一人暮らしをしていた場合の自宅の敷地を、すでにマイホームを持っている別居の子どもが取得するという場合は、「特定居住用宅地等」に該当しないので評価減特例がまったく適用できないのです。

以上のように、相続税の改正が行われると、相続税がかかってきてしまう方が増えるようになるでしょう。
我が家の場合はどうなるのか? 相続税を少なくする対策はないのか? そのためには、まず、ご自身やご家族の相続財産はどれくらいになりそうか確認し、必要があれば税理士に相談しましょう。
ご自身での財産の確認には、市販されている「エンディングノート」などにある財産の一覧表を利用されると便利です。
※平成23年度の税制改正は、(平成23年3月24日)ではまだ国会で可決していないため、実際の改正内容が変更になる可能性もありますのでご注意ください。

事例(家族構成両親と子供2人)
相続財産 9500万円
土地家屋3300万円、預貯金等6200万円、
*土地は小規模宅地の特例で評価額を80%減額
*預貯金には生命保険3000万円を含む。
*妻子供は中小企業の専従者の場合(一般の場合は相続税はもっと大きくなる)

現行制度 1回目相続(父親死亡)
①非課税財産(生命保険)500万円X3=1500万円
②基礎控除 5000万円+1000万円X3=8000万円
③課税遺産総額 9500万円ー1500万円ー8000万円=0円

改正案の場合

改正案 1回目相続(父親死亡)
①非課税財産(生命保険)500万円X3=1500万円(同居の場合)
②基礎控除 3000万円+600万円X3=4800万円
③課税遺産総額 9500万円ー1500万円ー4800万円=3200万円

*従来は無税が改正後は3200万円の遺産に相続税を支払うようになる。

2回目相続(母親死亡)の場合(中小企業などでは存続が難しくなる場合がある)
現行制度 2回目相続(母親死亡)
①非課税財産(生命保険)500万円X2=1000万円
②基礎控除 5000万円+1000万円X2=7000万円
③課税遺産総額 9500万円ー1000万円ー7000万円=1500万円

改正案の場合

改正案 1回目相続(母親死亡)
①非課税財産(生命保険)500万円X2=1000万円(同居の場合)
②基礎控除 3000万円+600万円X2=4200万円
③課税遺産総額 9500万円ー1000万円ー4200万円=4300万円

*従来は無税が改正後は4300万円の遺産に相続税を支払うようになる。

中小企業では企業存続が問われる問題になる可能性が大である

税率について
*改正では、2億円超3億円以下部分が40%から45%に、6億円超部分が50%から55%に、それぞれ税率が引上げられました。

■現在の税率
1,000万円以下部分・・・10%
1,000万円超3,000万円以下部分・・・15%
3,000万円超5,000万円以下部分・・・20%
5,000万円超1億円以下部分・・・30%
1億円超3億円以下部分・・・40%
3億円超部分・・・50%

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